基本の包み方を抑えておこう
風呂敷の基本となる「隠し包み」とは、美しさと実用性を兼ね備えた包み方です。
隠し包みはお使い包みを発展させた包み方で、お使い物や持っていきたい物を持ち運びやすく包み、さらに日本ならではの美しさを表現できる風呂敷の使い方です。真結びで主柄が隠れたり、品物が大きすぎて結び目が小さく不恰好になった時などに主柄の部分を引き抜いて、上品な仕上がりにすることができます。
隠し包みの包み方は、まず、包むものを風呂敷の中央に置きます。手前の端をかけ包むものの下に織り込みます。奥の端を手前に被せ、余った部分は下に織り込みます。左右の端を中央で結び一度お使い包みをします。その後、主柄の部分をつまんで引出し、結び目を隠すように引き抜いた端を被せれば完成です。
結び目が見えないため、シンプルですっきりとした包み方となります。和服に合わせたり贈答品のお包みにおススメです。また、包むものが重くて結び目を作らない「平包み」では包みにくい場合や持ち運びが難しい場合にも、隠し包みで包むと安全に持ち運びができます。その上、平包みのような上品さを加えることができるため、使い勝手の良い包み方です。特に箱型のものを安心して持ち運ぶことができるでしょう。
風呂敷は日本では遠い昔から様々に形を変え伝統として伝わってきました。西洋文化のカバンと比べて、包むものの大きさにとらわれず変幻自在に形を変えることができることや、包むものがないときに小さくたたんで持ち歩くことができることなど、その融通性・自在性が近年の環境問題にも役立つと考えられています。
従来の日本文化では、送り主が先方の前で風呂敷を解いて差し出すことが通例とされていました。この作法により、送り主側が贈り物を渡した後に風呂敷をたたんで持ち帰ることが礼儀とされています。
包み方ひとつで先方の心象にもつながるのでマナー、作法を踏まえてその場、包むものに合った包み方を押さえておきたいものです。